精密診断と治療 済

マイクロスコープ・CTによる
精密根管治療

根管治療(歯の根の治療)は、歯の内部にある根管の形態を正確に把握し、感染源を取り除くことが求められる精密な治療です。当院では、マイクロスコープによる拡大視野と、CTによる3次元的な精密診断を組み合わせることで、「今ある歯を守るために必要な治療」を行います。

医師の「技術」と「診断精度」が、治療結果を大きく左右する治療でもあります。

マイクロスコープ・CTによる精密根管治療

根管の複雑な形態を3次元で把握できるかどうかは、治療の成功率に大きく関わります。「情報があるのとないのとでは大違い」と言えるほど、診断の精度が予後を左右します。マイクロスコープ・MTA・CTを活用した根管治療は、単に「感染部位を除去する」にとどまらず、「歯の未来を見据えて治療する」考え方に基づいています。

マイクロスコープとは

マイクロスコープ

手術用の顕微鏡のことです。
肉眼より25倍に拡大した視野で治療が行えるため、より精密な治療を患者さまに提供することができます。根管治療では、根管内の細かな構造や感染部位を視認しながら処置を進めることができます。

マイクロスコープを根管治療に用いる目的

  • 根管内の感染部位や形態を確認しながら処置を進めること
  • 根管充填材・詰め物等の適合(段差の確認を含む)に配慮すること
  • 根管治療(根の中の治療)など、細かな操作を要する領域で視認性を確保すること

歯髄保存治療との関係

歯髄は歯の内部にある神経・血管を含む組織で、刺激を感知するだけでなく、防御壁となる第2象牙質(デンチンブリッジ)の形成や、免疫細胞等による防御機能を担います。「歯髄を守る」「歯の神経を残す」ことが根管治療において重要なのは、歯髄の有無が歯の寿命に大きく関わるためです。

歯を失う原因には歯周病、むし歯、外傷などがありますが、最多の原因は歯根破折で、喪失歯の約6割を占めるとされています。歯根破折は神経のない歯(失活歯)であることが多く、過去に抜髄処置が行われています。また、歯を失う2番目の原因である根尖病巣(根尖性歯周炎)も、抜髄処置や根管治療を受けた失活歯で生じる問題です。これらを合わせると、喪失歯の7割以上が神経のない歯であり、歯を失わないためには歯髄を守ることが重要であるといえます。

マイクロスコープによる拡大精密根管治療

根管治療では、歯髄に近接した深い部位の処置が必要になるため、歯髄への刺激に配慮しながら感染部位を取り除くことが求められます。

当院では、根管に近接する部位で低速ドリルや手用器具(エキスカベーター)等を用い、段階的に感染歯質を除去します。治療前に麻酔を行います。痛みが苦手な方は事前にお申し出ください。

また、健全歯質への影響に配慮し、拡大スコープや専用ライト、う蝕検知液の使用、ラバーダム防湿による隔離などを行い、根管内の感染予防に配慮したうえで処置を行います。必要に応じてMTAによる覆髄処置(歯髄保存治療)も行います。

根管治療にCTを使用する理由

CT

当院では、根管治療(エンド)においてCT撮影を必須の診断手順として位置づけています。
根管の形態は非常に複雑であり、従来の2次元レントゲンでは把握しきれない情報が数多く存在します。
CTによる3次元診断を加えることで、より精度の高い治療計画を立てることが可能になります。

情報の有無が治療結果を左右する

根管(歯の根)の複雑な形態を3次元で把握できるかどうかは、治療の成功率に大きく関わります。「情報があるのとないのとでは大違い」と言えるほど、診断精度が予後を左右します。CT撮影により、以下のような情報を事前に把握することが可能です。

  • 根管の走行・分岐・湾曲など、3次元的な形態の把握
  • 根尖病巣(炎症の広がり)の範囲と深さの確認
  • 根管の見落とし(MB2など副根管)の発見
  • 歯根破折や穿孔など、レントゲンでは確認しにくい病態の把握

CTと根管治療の組み合わせによる効果

マイクロスコープによる拡大視野とCTによる3次元診断を組み合わせることで、根管の形態を正確に把握しながら処置を進めることができます。これにより、感染源の取り残しや根管の見落としを防ぎ、再治療のリスクを低減することが期待できます。

なお、CT撮影の要否は口腔内の状態をもとに判断します。必要性が認められる場合にご提案しますので、まずはご相談ください。

MTAとは

MTAセメントは、根管穿孔(せんこう)部位を封鎖する材料であり、1998年以降に欧米各国で、2007年に日本で発売が開始されて以来、多数の症例で使用され、臨床での使用に関する報告があります。

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)は、ケイ酸カルシウムを主成分とし、生体親和性、封鎖性、石灰化促進作用、デンチンブリッジ形成能、細胞反応活性化促進作用、抗菌性などの特性が述べられています。
当院のMTA覆髄治療では、複数の材料を症例に合わせて選択しています。

MTA覆髄治療の特長

歯髄を保存できる可能性がある

神経を取るケースでも、歯髄を残せる可能性があります。

抜髄処置(根管治療)を回避できる場合がある

通常であれば神経を取るケースでも、歯髄を残せる可能性があります。

歯の寿命に関わる要因の回避につながる可能性がある

失活歯の歯根破折や根尖病巣の回避により、歯の寿命に関わる可能性があります。

治療費用に関して

失活歯では再根管治療や被せ物の再製作が必要になること、歯根破折等に起因する抜歯で新たな治療が必要になる場合があります。MTAにより歯髄保存が可能であれば、これらの費用発生を抑制できる可能性があります。

MTA覆髄治療の
注意点とデメリット

適応症が限られます

非感染生活歯髄の状態であるC2が適応とされています。何もしなくてもズキズキ痛む、温かいものの飲食で痛む等の炎症歯髄・感染歯髄(C3)は非適応です。ただし、冷たいものの飲食で少ししみるむし歯は適応となる可能性があり、可否は状態を直接確認して判断します。

歯髄を保存できない場合があります

歯の状態によっては、歯髄保存治療後に歯髄の炎症等で抜髄処置が必要になる場合があります。予後は診断時・治療時の状態確認後に説明します。

治療直後にしみる場合があります

むし歯除去時や覆髄処置の刺激により一時的に過敏となり、冷たいものの飲食で痛みを感じる場合があります。経過に伴い軽減することがあります。

医師の技術・診断が重要です

担当医師の診断やむし歯の除去方法が治療結果に影響します。

保険適用について

MTA覆髄治療(歯髄保存治療)は一部保険適用となる場合がありますが、基本的には保険適用外の治療です。

よくある質問

マイクロスコープを根管治療に用いると何が変わりますか?

根管内の感染部位や形態を確認しながら処置を進めること、根管充填材等の適合確認、根管治療など細かな操作を要する領域での視認性確保が目的です。見落としや取り残しのリスクを低減し、精度の高い治療につながります。

根管治療にCTは必ず必要ですか?

口腔内の状態をもとに必要性を判断してご提案します。根管の形態が複雑な場合や、根尖病巣が疑われる場合など、CT撮影が診断精度の向上に有効と判断される場合に推奨しています。

治療後に症状が出ることはありますか?

治療直後に一時的にしみる場合があります。また、歯の状態によっては歯髄保存が難しく、後日抜髄処置が必要になる場合があります。

MTA覆髄治療は誰でも受けられますか?

むし歯の進行度や歯髄の状態(感染の有無・症状)を確認したうえで、適応の可否を判断します。状態によっては歯髄保存が難しい場合もあります。

MTA覆髄治療を行っても、後から根管治療が必要になることはありますか?

歯の状態によっては、治療後に歯髄の炎症等が生じ、抜髄処置(根管治療)が必要になる場合があります。経過観察を行いながら判断します。